~あの日から~語り継ぐ ⑪

「第11回 ガイガーカウンターが必要」

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あの日から11

 テレビのテロップで、飯舘村の空間放射線量の数字が出てくるんですが、それは我が家の数値ではない。帰るにしたって、安全なのか分からない。だから、わが家の放射線量を知るために線量計がほしかった。3月中から息子二人に探してと、と言ったんです。

 次男は分析機械メーカーに勤めています。ガイガーカウンターがあると思って「会社の送ってもらったんでは、あんたの立場が悪くなる。何とか、手に入れて」と言った。「国産はないが、ウクライナ製なら」という返事が来たんです。品物は2週間で日本に来たが、税関がなかなか通らなかった。みんなが線量計持つと、都合悪い人がいるんじゃないですか。そう感じました。私の手元に来たのは5月1日でした。

 長男が4月20日ごろ、線量計を持ってきたので、飯舘村に線量を測りに行きました。うちの山菜畑で9(毎時9マイクロシーベルト)を超え、一番高かった所は10を超えていた。

 自宅は飯舘村の数値として公表されている3.8と、それほど違わなかった。だから、わが家の線量もテロップと同じぐらいと分かった。体温だって、熱っぽいではダメで、何度あるかが大事だ。そういう考え方をするのは、昔受けた教育が役立っているんです。

 「クニさんって、理系ですか」と聞かれることがあるんです。私は「人のうわさ話は信用しない。自分で確認したもの、データを信用します」と話す。家族を守るためには、そうしなければいけなかった。

 わが家で採れた山菜も調べています。ウルイが2012年にはND(検出限界以下)だったんです。料理して出したら「いやぁー、たべられるんだなぁ。飯舘に帰ったみたいだ」とじいちゃんは言ったんです。

 検査をする習慣づけは大事だと思う。役場は「山菜を採るな、食うな」と言っているだけ。村が調べて、基準値以下だったら「食べたい人は食べる」としたらいい。

 (東京新聞 2014年5月20日(火)掲載)