ノルウェー報告5 ~オスロで会った起き上がり小法師(ムンク)~

9月11日~12日

  オスロに来て久しぶりに信号をみました。この4日間は車で移動していたのですが、交差点がロータリーになっていて信号はなかったのです。
  オスロに来たらムンクに会いたいとナショナルギャラリーに行きました。そこで何と西会津町で起き上がり小法師を製造している野沢民芸店さんの起き上がりムンクがありました。ノルウェ一政府からの福島支援のコラボ商品だそうです。もちろん私も買いました。ガイドしてくださったかおるさんは 、今まで東北地方で作られている民芸品と説明していたそうですが、明日からは福島県で作られていると説明してくださるでしょう。こんな形で福島県が話題になるのはうれしいですね。
  街中では電気自動車の駐車料金は無料で、充電するのも無料だそうです。政策が見える形で行われているという印象を受けました。今回の私たちの研修は、福島を出る時から帰るまですべてノルウェー政府の招待です。どういう形でお返しできるのか難しいことは考えず、事実を脚色せず、ありのまま伝えることをして、落ち着いて生活できる環境をつくっていくことかと考えました。

そして……
 福島に不安から解放して心の平和に貢献したということでノーベル平和賞をいただいた夢をみましたので、オスロ市庁舎の授賞式会場を下見してきました。勿論イメージトレーニング用にメダルも買ってきましたよ~(*^-^*)

  ご一緒した復興庁のお二人ですが、最終日は別コースでノルウェー放射線防護庁と意見交換をされております。私の意見も失礼なほど申し上げました。正直言って内閣府復興庁や環境省の職員に良い印象を持っていませんでしたが、このお二人は信頼してもいいかなと信頼の第一歩です。ノルウェーの人口で占めているのはわずかな汚染地帯の農家のために対策をとり続けている政府と、政府を信頼している農家の方々。貴重な経験の連続でした。(終)

 

 

 

 

 

 

 

 

ノルウェー報告4 ~トナカイ牧場~


 


9月10~11日

  ノルウェーの最終日です。
  オスロまで数時間かけて行きますが、途中でもう一度トナカイ牧場に寄りました。標高1000m以上の所で、石がゴロゴロしていてワタスゲのような花(正確な名前はわかりません)などの高山植物が少しとトナカイの餌になる苔が少し生えているだけです。すぐ目の前の山には残雪がありました。
  9月10日、放牧されていたトナカイがヘリコプターに追われ、馬に守られて戻ってくるところです。100農家が待っています。3000頭のトナカイが2日にわけて戻ってくるのだそうです。
天候の関係でヘリコプターが飛ぶのが遅れて19時をすぎております。柵の中に追われて戻ってきた1700頭の中からサンプリングで40頭の体重測定と生体(ベクレル)検査をして、3000ベクレル/kg以上なら全頭検査になります。
  ここ数年3000ベクレル以上の数は少なかったのですが、今年はきのこの当たり年ですから覚悟している様子でしたが、果たして結果は?
  牛や山羊や羊のようにプルシアンブルー入り岩塩や丸薬はトナカイには使えず、全くの自然任せ。時計は21時近くなっていますが、結果がわかるまで帰る訳にはいきません。そして、サンブル検査で3000ベクレル以上のトナカイが次々といて翌日全頭検査と決まりましたので、翌朝にその様子を見学させていただきました。
  幸運にも食欲旺盛だったトナカイは3000ベクレルを超えてまた山に放されます。不幸にも3000ベクレルを超えなかったトナカイは1頭ずつ箱の中に入れられ、移動式屠殺車に導びかれて、気絶させられてから、2分後には皮がはがされているとか…
  チェリノブイリ事故から28年経っても自然をコントロールできていない現実。それでも自然と共生しながら、トナカイ文化を守リ、健康不安もなく楽しい…と出会った農家の方達は話していました。一方、年間1ミリシーベルトの呪縛から解放されていない福島の人達というよりは多くの日本人を考えると、大きな宿題をもらったような複殺な気持ちを抱きながら最終地オスロに何かいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ノルウェー報告3 ~乳牛牧場と山羊牧場~

    9月10日

  ノルウェー3日目になります。今日は、イェンデスハイム・マウンテンの山小屋からレイラにある食品監督庁地方事務所まで行きます。その途中に、乳牛の放牧地と山羊の牧場を視察します。

 標高600m前後のスレッテ・フィエル・ヴェーゲンの乳牛の放牧地の農場主は31歳の女性です。4歳の時にチェリノブイリ事故があったが、まだ小さかったので何が起こったのかは全く分からなかった。学校では放射線の勉強はしたが、他の教科と同じで特別なことはなかった。数年前に父親から250万クローネ(日本円で約4250万円)で農場を購入したとか。春から秋にかけては、訪問した放牧地で生活し、冬期間は17km離れた自宅のある牧場に牛たちと歩いて戻るのだそうです。数年前まではセシウムの吸収をおさえるプルシアンブルー添加の特別飼料や岩塩を使っていたが、ここ数年は線量がさがってきているため、特別試料は使っていないとのことであった。彼女が牧場を始める時は、まだまだ影響が残っていて特別飼料を使っていたので、酪農をやるのに不安はなかったかと質問したら、対策はとられているし、この自然の中で仕事をしたかったので何の不安もなかった。もちろん風評はなかった…と。結婚や妊娠することへの不安はなかったのかとも質問したが、学校で勉強しているからその心配もないし、現在同棲している彼氏がいるとまで話してくれました。

  ヴェフレンの牧場は標高1000m。目の前に見える山の窪地には雪があります。山羊を飼っている夫婦を訪問しました。ここでは、プルシンブルー添加の飼料を見せていただきました。この10年間の月ごとの線量データも見せていただきました。そこにはプルシアンブルー飼料の使用したものと使用しないもののデータもありました。データは農家にフィードバックされていました。

 なお、山羊の乳はほとんどがチーズなど乳製品の原料になります。

 ノルウェーでは1986年の冬から1987年にかけて、家畜の生体測定方法が確立しました。1988年からプルシアンブルーの使用実験が始まり、政府が供給したそうです。30年近く経ってようやく、プルシアンブルー添加の飼料や岩塩が使われることは一部を除いてなくなりました。ノルウェー政府が「農家には損をさせない」と宣言して、経済的援助を続けてきたことが、農業者が農業をあきらめないでこれた。ここには「信頼」というキーワードあります。

 参考までに、ノルウェーでは牛の生乳も山羊の生乳も基準値は370Bq/kgです(日本では50Bq/kg)。

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 菅野 クニさんの写真      菅野 クニさんの写真

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